一般になされる説明でも「キャッシュフロー計算書の表示方法には直接法と間接法があります。
間接法は直接法に比べて簡便に作成することができ、一般的に多く採用されています」といったものが多く見受けられます。
しかし、こうした説明はミスリーデイングです。
この2つの表は、表示方法と作り方だけでなく、基本的なコンセプトも使い方も全く異なるのです。
キャッシュフロー計算書(直接法)は現預金の現れた仕訳を集めて作り、キャッシュフロー計算書(間接法)は増分貸借対照表から作ります。
さらに、これまでの説明でご理解いただけたと思いますが、2つの表は、基本的なコンセプトが全く異なっています。
キャッシュフロー計算書(直接法)はお金の出入り表で、みなさん誰もが一度はつけたことがあると思いますが、小遣い帳のある期間の合計表と同じものです。
一方、キャッシュフロー計算書(間接法)は利益と現預金増減の関係を貸借対照表の各勘定科目の増減によって把握しようとするものです。
企業にとって大切なのは利益とお金です。
損益計算書が利益の生まれる経緯を示し、キャッシュフロー計算書(直接法)がお金の生まれる経緯を示しています。
そして、利益とお金の関係を説明するのがキャッシュフロー計算書(間接法)です。
「財務四表の十字星」で見ても分かるように、キャッシュフロー計算書(直接法)はむしろ損益計算書と並置されるべき性格のものです。
つまり、2つの表は現金ベースの出入り表と発生ベースの出入り表です。
こうした財務四表の体系の中で見ると、キャッシュフロー計算書(直接法)とキャッシュフロー計算書(間接法)という名称は、全く異なるものに似たような名称を与えることになっており、紛らわしい命名です。
キャッシュフロー計算書がいわゆる会計ビッグバンの一環として外部報告用の財務諸表の1つに加えられたのは1999年のことですが、実はそれ以前から、キャッシュフロー計算書(直接法)は資金繰表と呼ばれ、キャッシュフロー計算書(間接法)は資金運用表と呼ばれて、企業の内部用の財務資料として使われていました。
それを名称を変えて外部報告用の財務諸表に加えたわけです。
その際、名称と同時に、表の体裁も変えました。
中身は同じですが、項目のくくり方と並べ方を変えています。
このことは後ほど説明します。
現在でも、資金繰表と資金運用表は社内資料としてはもとの名称のまま使われています。
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